研究内容

これまでの研究成果

2. ビルベリー(ブルーベリーの野生種)のAMPキナーゼを介する高血糖抑制

図7 ビルベリー

 ブルーベリー果実はジャムなどの加工品に加えて生果としても大変人気です。最近では、長野や愛知の一部でも生産されています。ブルーベリーの野生種として知られるビルベリー(図7)は、1. アントシアニンの項でもお示ししたように「アントシアニン類」を豊富に含み、サプリメント素材としても活用されています。その生理機能としては、視機能の改善が知られています。

 私たちは、ビルベリーの新たな生理機能の開発と価値創造を目指して研究を進めた結果、ビルベリーの高血糖抑制・インスリン感受性上昇作用とそのメカニズムを動物実験で明らかにしています。(論文:J. Nutr., 140: 527-533. 2010

 普通食あるいはビルベリー果実抽出物を含む食餌を2型糖尿病モデルマウス(KK-Ayマウス;遺伝的に糖尿病を発症するマウスのこと)に自由摂取させると、ビルベリー摂取群では、普通食群と比較して血糖値の有意な上昇抑制作用を示し、インスリンの感受性の上昇が認められました。この作用はビルベリーに豊富に含まれる「アントシアニン類」によるものと考えられます。作用メカニズムとしては、C3Gの含有量からRBP4の発現低下[参考:1-3 アントシアニンの糖尿病に対する作用]のみでは説明できませんでした。その後の私たちの研究から、ビルベリー摂取により、細胞内のエネルギーレベルを調節し、エネルギー代謝の鍵分子として知られている「AMPキナーゼ」が活性化されることが明らかになりました。これにより、末梢組織でのグルコースの利用や過剰な糖合成を抑制し、脂肪の利用を増やすことで糖尿病抑制作用を示すと考えられました(図8)。この成果はアメリカ栄養学会誌(The Journal of Nutrition)に掲載されることになりました。


図5 アントシアニンの摂取は脂肪細胞の肥大化、脂肪肝の生成を抑制する。

 ビルベリーは多様なアントシアニンを含むことから、単一のアントシアニンではなく、多種類のアントシアニンの同時摂取が重要なのか?など、新たな疑問も出てきましたが、この研究から、ビルベリーを活用した視覚機能の改善+糖尿病抑制の2つを兼ね備えたサプリメントの実現など、応用範囲も広がります。また、この研究を起爆剤としたビルベリー、ブルーベリーの栽培や利用の幅が広がることも期待しています。但し本研究は、まだ動物実験レベルのみの結果であるため、今後更に慎重に効果の検証を進めていきたいと考えています。


▲TOPに戻る