10.アントシアニン「デルフィニジン 3-ルチノシド」はカルシウム−CaMK II経路を介してGLP-1の分泌を促進する。

 これまで当研究室ではアントシアニンの健康機能研究を行ってきました。アントシアニンの糖尿病予防・抑制作用はすでに明らかにしていますが、アントシアニンには様々な分子種があり、これまでの糖尿病予防・抑制作用はGLP-1(グルカゴン様ペプチド−1)の分泌促進を介して説明できる可能性があります。
 私たちは、アントシアニンの各分子種のGLP-1の分泌促進作用を検討した結果、デルフィニジン 3-ルチノシド(D3R)がGLP-1分泌を促進することを初めて見出しました。このGLP-1の分泌促進には、GPCRを介した細胞内のカルシウム濃度の上昇と、カルシウム/カルモデュリン依存性キナーゼU(CaMKU)という酵素の活性化が関与することを明らかにしました。
 このようなGLP-1分泌を刺激する食品由来因子はどのように活用できるでしょうか。例えば、食事の際の食べる順番などを考慮してGLP-1分泌を刺激する食品(インクレチン効果を高める食品)あるいはその成分をサプリメントとして活用することで、糖尿病予防や治療薬の効果を高めることが予測されます(最も医薬品との相互作用は十分に検証する必要があります)。

論文:The anthocyanin delphinidin 3-rutinoside stimulates glucagon-like peptide-1 secretion in murine GLUTag Cell Line via the Ca2+/calmodulin-dependent kinase II Pathway.
PLoS ONE 10: e0126157 (2015).