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中部大学
応用生物学部
生物機能開発研究所
植物バイオ研究センター
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1.植物の形に関与する遺伝子の機能解析

植物は発芽後に次々に新しい器官を形成して成長します。葉は植物における主要な器官ですが、葉がどのようなメカニズムで作られているかは、まだ、十分な理解は得られていません。町田らは、葉の左右相称性と扁平性にかかわるシロイヌナズナの遺伝子(ASYMMETRIC LEAVES2AS2))をクローニングし、この遺伝子が植物に固有の遺伝子ファミリーを形成していることを明らかにしました(Machida, Ref.7,10,12,13)。 AS2の機能欠損変異体の葉は、左右非対称で下向きにカールしているのに対して、過剰発現体の葉は上向きにカールした細い葉をつくりつづけ、ボール状の形態をもつ個体になり、野生型のシロイヌナズナとは似ても似つかない形状となります。(図1)。遺伝子機能を明らかにすることにより、このように新しい形態や機能をもつ植物を創出できる可能性があります。現在、さらに、葉や花の形造りに関わる新しい遺伝子を見出すために、シロイヌナズナを用いて葉の形が変化する変異体のスクリーニングを行っています(図2)。さらに、遺伝子を単離し、それらが葉や花の形造りにどのように関わるかを明らかにして、ランやバラ等の園芸植物の分子育種にも応用したいと考えています。
2.バイオインフォマティクスの解析手法の応用

シロイヌナズナのゲノム情報が2001年に、ヒトのゲノム情報が2002年に解読されました。植物分野ではイネのゲノム情報なども解読されています。このようにゲノム研究の急速な展開により、膨大な生物情報を的確に処理するバイオインフォマティクスの重要性が高まってきました。特に、DNA チップあるいはDNAマイクロアレイを利用した遺伝子発現情報を解析し、制御因子の下流で機能する遺伝子を特定するためにはバイオインフォマティクスの解析手法を上手く利用することが必須となってきています(図3)。 小林はこれまで医療、特に疾病予測に関連した新規情報処理システムの開発を主として行ってきました(Kobayashi Ref.1-25)。 このシステムを植物の発生・分化と細胞増殖関連遺伝子に応用することにより、これらの遺伝子の下流で機能する新規遺伝子の迅速な同定や、よりターゲットに近い遺伝子の絞り込みに応用し、ランやバラ等の分子育種技術の基盤開発研究に貢献します。
3.植物ホルモン合成の基盤的研究と園芸植物の形質転換法の開発

サイトカイニンはシュート分化の制御や器官形成に重要な役割を果たす植物ホルモンです。榊原らは、シロイヌナズナを用いて、イソペンテニル(iP)型およびトランスゼアチン(tZ)型サイトカイニンの合成酵素遺伝子をそれぞれ同定しました(Sakakibara, Ref. 5, 20, 23)。現在、榊原らは、iP型、tZ型サイトカイニンの生理的機能分化と生合成制御機構におけるサイトカイニン合成酵素遺伝子群のそれぞれの役割分担の解明を進めています。複数存在するiP型、tZ型サイトカイニン合成酵素や、サイトカイニン受容体の各々の機能の違いを明らかにする研究を進めることは、分子育種の基盤技術の確立において重要であると期待されます。
シュート(茎葉)再生は、多くの植物種の形質転換において、遺伝子導入後の最初のステップであり、シュート形成効率が低すぎるために形質転換体の作製が困難な植物種も少なくありません。坂野が同定したシロイヌナズナ ESR1 遺伝子は、強制発現することにより、シュート再生効率を飛躍的に上昇させる機能をもつことがわかりました(Banno Ref.2)(図4)。ESR1 は転写制御因子をコードしており、シュート分化のスイッチとして働いていると考えられます。バラはシュート形成効率が非常に低く、形質転換体の作製が困難な植物種の1つです。現在、ESR1 をバラのシュート再生へ応用することを模索するとともに、シュート再生に関わる遺伝子群をバラから同定することを試みています。
4.魅惑的なバラ創出の分子的基盤研究

器官分化制御の分子機構に関する研究は、モデル植物であるシロイヌナズナとキンギョソウを用いた研究が進み、花においては、向背軸形成に関与する遺伝子群に加えて、MADSファミリー遺伝子が重要な役割をになっていることがわかってきました。花の多様性はこれらのMADSファミリー遺伝子の機能の多様性に起因する部分が多いと考えられます。バラにおいては、その原種であるハマナスを用いて、松本らがMADSファミリー遺伝子に関する解析を行い、MADS遺伝子群の個々の機能からバラ花器官に関するABCDEモデルを確立しました(Matsumoto, Ref. 10, 11, 18, 20)(図5)。現在、MADS遺伝子群に属するバラのSEP3ホモログ遺伝子群をハマナスから単離し、構造的、機能的解析を進めています。これらの遺伝子の発現場所を人為的に制御し、花や葉に新奇形質を付加することができれば、例えば、現代バラに見られる八重咲き等の複雑な花の形態が、野生バラからどのようにして成立したのか遺伝子レベルで明らかになり、多様性の分子的基盤解明の一端となると期待されます。
5.胡蝶ランの形質転換法の確立と葉と花の形をつかさどる遺伝子の単離解析

現代の胡蝶ランは育種を重ねてつくられたものであり、Phalaenopsis amabilisは、その原種のひとつです。インドネシアのセミアルティらは、最近、Agrobacterium tumefaciensを用いた形質転換法を確立し、Phalaenopsis amabilisの遺伝子導入が容易にできるようになりました。現在、Phalaenopsis amabilisを実験材料として、胡蝶ランの葉や花の分化に関与している遺伝子の単離と解析を進めています。将来、花の形や色模様の変化した胡蝶ランを創出するための基盤的研究を行っています。
6.植物の香の分析システムの確立

植物が発生する香の成分をヒトの感覚による評価と機器分析の両面から行い、香の分析システムを確立し、香の分子科学的研究の糸口をつくりたいと考えています。香の分析はこれまで人の感覚にたよることが多かったのですが、本研究では、まず、半導体センサやガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)等を用いて、植物の香りの分析を行い、香の複数の成分の分離法を検討する予定です。
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