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代表挨拶
はじめに
研究内容
メンバー
研究成果

町田 千代子

小林 猛
高橋 広夫
小島 晶子
坂野 弘美
榊原 均
根岸 晴夫
松本 省吾
山木 昭平
エンダン・セミアルティ
研究発表
お問い合せ
中部大学
応用生物学部
生物機能開発研究所
植物バイオ研究センター
ヘルスサイエンスヒルズ
研究成果
植物の香りの分子的理解をめざして、香りの分析システムを確立する
(松本チームと一部協力)
根岸 晴夫 中部大学・応用生物学部・食品栄養科学科・教授

【研究目的】

 植物が二次代謝産物としてつくり出して発散する揮発性物質には、自分自身に対する防御的作用を有することが明らかにされている。葉や幹をかじる害虫に対する摂食阻害作用、昆虫・細菌に対する忌避作用、病気をもたらすカビ・細菌に対する殺菌作用、花粉を運ぶ昆虫や種子を運ぶ動物を誘引する作用、あるいは根や葉から他感物質を放出して自らの繁殖域を広げて他の植物の成長阻害作用などが最近の研究で明らかにされている。また植物と植物間のコミュニケーションの手段としても使われているとの報告もある。一方、ヒトにとって心地よいと感じる香りは、香水や食品など生活の中で利用されている。本研究では、植物の生理作用や遺伝子の働きなどの研究材料としてよく使用されているシロイヌナズナをモデル植物として、種々の環境下で揮発性物質の放出に影響する諸因子と揮発性物質の挙動について解析する。特に、ヒトが好ましいと感じる香気成分を解析し、その生合成経路と関与する遺伝子の働きを解明するための基礎的データを提供する。そのために、植物体が放出する香りの成分をヒトの感覚による評価と機器分析の両面から行い、香りの分析システムを確立する。さらに、ラン科植物を主な対象として生花の香りの計測を行い、花の香気の発散機構について分子生物学的研究の糸口をつくることを目的としている。

【研究結果】

 まずモデル植物として多用されているシロイヌナズナを対象として、ヘッドスペースガス−GC/MS法によるシロイヌナズナ葉の揮発性物質の分析手法を確立した(論文5)。さらに、芳香を発散する植物材料として、ラン科のフウラン及びコチョウラン原種を取り上げ、生花の香気採取法と分析技術に取り組んだ。ヘッドスペース(HS)‐マイクロ固相抽出(SPME)‐GC-MS法を導入し、生花の発散する揮発性成分の同定及び朝夕の発散量の変化を観察した。20年度はフウラン及びコチョウラン原種について、生花の発散する揮発性成分の日周リズムを詳しく観察し、連続暗期に置いた場合のリズムへの影響も観察した。新たな材料としてエビネランについても揮発性成分の同定を試みた(論文9)。また、植物体が放出する多くの揮発性物質の中から感覚的に重要な成分を解析するために、加熱導入装置‐GC‐におい嗅ぎシステムを導入した。揮発性成分は吸着剤Tenaxを用いて捕集され、GCで分離された揮発性成分のにおいを感覚評価できるようになった。
21年度は、HS‐SPME‐GC-MS法によりフウラン生花の揮発性成分の発散日周リズム、概日リズムについて確認試験を行うと共に、フウランを切花にした場合の日周リズムについても測定し、現在、解析中である。また、エビネラン(コウズ)生花の発散する揮発性成分の日周リズムについても測定して解析中である。さらに、新たな香りの分析技術として、新規捕集剤Mono Trap (GL Sciences)による生花の揮発性成分の簡易な濃縮抽出法を導入し,野外に咲く花の揮発性成分の分析及び、におい嗅ぎGCへの導入法を検討した。このMono Trap法を用いて、圃場で隣接する野生バラと栽培バラに対する訪花昆虫の行動に対するバラ花の香気の影響を調査するために、バラ花が自然に発散する揮発性成分の捕集とGC/MS分析試験を実施中である。さらに、芳香栽培バラ(Rosa‘Yves Piaget’)の切花の花もちと香気の持続性に対するホルモン処理の効果をみるために、芳香バラの香気変化を観察する試験が進行中である。バラ花の香気分析は、松本チームとの共同研究である(論文11)。

【原著論文等】

  1. 根岸晴夫.高齢社会を支える食肉の役割と機能性.中部大学・生物機能開発研究所紀要.5, 55-66 (2005)
  2. 根岸晴夫.食肉・食肉製品の安全性,「最新畜産物利用学」(齋藤・西村・松田編),149-155.(朝倉書店)2006.
  3. 根岸晴夫.食肉および食肉加工製品,「食品変敗防止ハンドブック」(食品腐敗変敗防止研究会編), 355-368.(サイエンスフォーラム)2006.
  4. 根岸晴夫.食品の品質と美味しさの科学的管理.中部大学応用生物学部紀要.5, 3-9 (2006)
  5. Taneda, A., kuroda, E. and Negishi, H. : Rapid headspace gas chromatography-mass spectrometry to analyze volatiles from Arabidopsis thaliana leaves. Annual Report of Research Institute for Biological Function. 7, 91-100 (2007)
  6. 呂 鋒・種田明子・根岸晴夫. 愛知県春日井市の竹尾ハーブ園で栽培した芳香性ハーブ4種の香りと揮発性成分の比較.中部大学応用生物学部紀要.6: 11-23(2007).
  7. 根岸晴夫.チーズの機能性 一次機能,「現代チーズ学」(齋藤・堂迫・井越編),291-310.(食品資材研究会)2008.
  8. 根岸晴夫.乳酸菌を利用した食肉製品及びその製造方法.出願番号 特願2008-063525.出願日2008/3/13.
  9. 種田明子・安達雅代・舩渡歓子・根岸晴夫.ヘッドスペース-マイクロ固相抽出-GC/MS法によるニオイエビネCalanthe izu-insularis (Orchidaceae)の揮発性成分の解析.中部大学生物機能開発研究所紀要.9:79-84 (2009)
  10. 根岸晴夫.食用サボテンの処理方法、食用サボテン及び食用サボテン添加食品.出願番号 特願2009-148467.出願日2008/6/23.
  11. Matsumoto,S., Yamada,K., Shiratake,K., Koketsu,T., Negishi,H., Taneda,A., Fukui,H and Ueda,Y. Gene flow via pollen spread cultivated roses used as hosts of a transgenic rose to wild roses. Acta Hort. in press.
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