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代表挨拶
はじめに
研究内容
メンバー
研究成果

町田 千代子

小林 猛
高橋 広夫
小島 晶子
坂野 弘美
榊原 均
根岸 晴夫
松本 省吾
山木 昭平
エンダン・セミアルティ
研究発表
お問い合せ
中部大学
応用生物学部
生物機能開発研究所
植物バイオ研究センター
ヘルスサイエンスヒルズ
研究成果
バイオインフォマティクスを用いた植物の葉の形成に関わる遺伝子の抽出
(小林、町田、小島、坂野チームと連携)
高橋 広夫 中部大学・応用生物学部・応用生物化学科・講師

【研究目的】

DNAマイクロアレイなど遺伝子発現情報などの解析に新規情報解析システムを導入し、ゲノムワイドな解析を行って、新規遺伝子の抽出を行う作業を行うことを主目的とする。ゲノム研究の急速な発展により、マイクロアレイによる解析は、転写因子下流で機能する遺伝子の解析や、その他、様々な生命現象の解析に必須の手法となっている。しかしながら、マイクロアレイから得られる情報は膨大であり、この中からいかに有用な情報を取り出すかが、重要であるが、この膨大な情報量のために、従来の統計的・情報学的な手法では解析が困難であり、新規解析手法の開発が望まれている。これまで、小林・高橋らが開発してきた情報処理システムを、植物の発生・分化と細胞増殖関連遺伝子に応用する事で、これらの遺伝子の下流で機能する新規遺伝子の迅速な同定を行う。この結果を踏まえてターゲット候補を抽出し、分子育種に応用する。

【研究結果】

(1)マイクロアレイ情報の新規処理システムの開発と候補遺伝子の迅速抽出
(小林、町田、小島チームと連携)

本プロジェクトで購入したDNAマイクロアレイ解析システムを用いて、シロイヌナズナの葉の発生分化に関わるAS1, AS2遺伝子により制御を受けている遺伝子の探索を行った。シロイヌナズナの(@)野生株、(A) as1変異株、(B) as2変異株、(C) AS2過剰発現株に関し、Affymetrix社GeneChip ATH1を用いてそれぞれ遺伝子発現情報は町田らによって取得された。この発現情報データを解析に使用した(図1)このアレイには、シロイヌナズナの遺伝子の対応する22746プローブが含まれており、図1に示すように前処理を行った。このデータに、小林が開発したFuzzyART法を改良した、知識ベースシステムを用いた新FuzzyART法によるクラスタ解析手法を適用した。その結果、AS1, AS2遺伝子により制御を受けている候補遺伝子が得られた。発生・分化に関わる植物遺伝子発現データ解析では、遺伝子の発現変化が一般的に小さく、解析が困難である。本手法は、知識ベースシステムに基づいているため、このような変化の小さい遺伝子も正確にクラスタリングできる利点が有る。この方法は、今後、さまざまな生命現象の解明に応用できると期待される(論文9,中部大学応用生物学部紀要2007;論文11, J. of Biosci. & Bioeng., 2008)。

図1:新FuzzyART法を用いたDNAマイクロアレイ解析のスキーム

(2)シロイヌナズナの葉の発生分化過程でAS1、AS2遺伝子により制御される下流遺伝子の探索 (町田、小島チームと連携)

マイクロアレイ解析から抽出された遺伝子について、リアルタイムPCRシステム(2007年度購入)により解析、さらに、変異体を使った解析から、図3左図に示したように、AS1, AS2は、葉の裏側化に関わる因子のうち、ETT, KAN2, YAB5を負に制御していることがわかった。さらに、誘導系を用いた解析、ChIPアッセイとChIP on chip法により、class 1 KNOX遺伝子群とETT, ARF4を独立の経路で発現抑制していること、ETT, BPを直接制御していることがわかった。ChIP on chip法には、本プロジェクトで購入したDNAマイクロアレイ解析システムを用いた。また、データ解析は、高橋チームが行った。本プロジェクトで初めて明らかにされた経路は、シロイヌナズナの葉の表側細胞の分化において重要であることが示唆された。

(3)シロイヌナズナのシュート形成制御因子ESR1 の下流遺伝子の探索
(坂野チームと連携)

シロイヌナズナのESR1 の下流遺伝子の探索を坂野らのグループと共同で行った。坂野らにより、エストロゲン誘導系を用いて、誘導の前後のマイクロアレイデータを取得し、このデータを解析することで、下流の候補遺伝子であるCUC1, CLE2, GNAT ファミリー遺伝子を同定した(論文12)。

(4)バイオマーカー遺伝子抽出法の開発

さらに多くの遺伝子発現データが共同研究者から提供されるまでの間、疾患のバイオマーカー遺伝子抽出法として、効果的なS2N’法の開発を以前行ったが、本手法を国立がんセンターの胃がん症例から得られたマイクロアレイデータに応用することにより、FOXA1 経路を介した新しい予後悪化メカニズムの同定を行うことが出来た。このような手法をさらに改良進めることで、新規情報解析システムの開発と疾患の診断などへの応用が可能となり、さらには、がんの温熱治療への応用などの研究成果は、シロイヌナズナの解析においても、AS1, AS2 の下流遺伝子同定などに有用であると考えられる。

【原著論文等】

  1. H. Takahashi, T. Kobayashi, H. Honda, “Construction of robust prognostic predictors by using projective adaptive resonance theory as a gene filtering method", Bioinformatics, 21(2), 179-186, 2005
  2. H. Takahashi, H. Honda, “A new reliable cancer diagnosis method using boosted fuzzy classifier with SWEEP operator method”, J. Chem. Eng. Jpn., 38(9), 763-773, 2005
  3. H. Takahashi, H. Honda, “Prediction of peptide binding to major histocompatibility complex class II molecules through use of boosted fuzzy classifier with SWEEP operator method”, J.Biosci.Bioeng., 101(2),137-141,2006
  4. H. Takahashi, H. Honda, “Modified signal-to-noise: a new simple and practical gene filtering approach based on the concept of projective adaptive resonance theory (PART) filtering method”, Bioinformatics, 22(13), 1662-1664, 2006
  5. H. Takahashi, H. Honda, “Lymphoma prognostication from expression profiling using a combination method of boosting and projective adaptive resonance theory”, J. Chem. Eng. Jpn., 39(7), 767-771, 2006
  6. H. Takahashi, K. Aoyagi, Y. Nakanishi, H. Sasaki, T. Yoshida, H. Honda, “Classification of intramural metastases and lymph node metastases of esophageal cancer from gene expression based on boosting and projective adaptive resonance theory”, J.Biosci. Bioeng. 102(1), 46-52, 2006
  7. H. Takahashi, T. Nemoto, T. Yoshida, H. Honda, T. Hasegawa, “Cancer diagnosis marker extraction for soft tissue sarcomas based on gene expression profiling data by using projective adaptive resonance theory (PART) filtering method.”, BMC Bioinformatics, 7:399, 2006
  8. H. Takahashi, Y. Murase, T. Kobayashi, H. Honda, “New cancer diagnosis modeling using boosting and projective adaptive resonance theory with improved reliable index.”, Biochem. Eng. J., 33(2), 100-109, 2007
  9. 佐藤信雄、小塩高広、中尾幸子、高橋広夫、岩川秀和、小島晶子、町田千代子、小林 猛 : シロイヌナズナに対するDNAチップを用いた遺伝子発現データのクラスタリング手法の比較, 中部大学応用生物学部紀要, 6, 1-10 (2007)
  10. T. Kawamura, H. Takahashi, H. Honda, "Proposal of newly gene filtering method, BagPART, for gene expression analysis with small samples.", J.Biosci. Bioeng. 105(1), 81-84, 2008
  11. H. Takahashi, H. Iwakawa, S. Nakao, T. Ojio, R. Morishita, S. Morikawa, Y. Machida, C. Machida, T. Kobayashi, "Knowledge-based Fuzzy Adaptive Resonance Theory and Its Application to the Analysis of Gene Expression in Plants.", J.Biosci. Bioeng. 106(6), 587-593, 2008
  12. Matsuo, N., Mase, H., Makino, M., Takahashi, H. and Banno, H.,Identification of ENHANCER OF SHOOT REGENERATION 1-upregulated genes during in vitro shoot regeneration. Plant Biotechnology, . 26(4), 385-393, 2009
  13. M. Sano, K. Aoyagi, H. Takahashi, T. Kawamura, T. Mabuchi, H. Igaki, Y. Tachimori, H. Kato, A. Ochiai, H. Honda, Y. Nimura, M. Nagino, T. Yoshida, H. Sasaki, "Forkhead box A1 transcriptional pathway in KRT7-expressing esophageal squamous cell carcinomas with extensive lymph node metastasis" Int. J. Oncol. 36(2), 321-330, 2010

【受賞】

  1. 日本遺伝学会BP賞 町田千代子・岩川秀和・高橋広夫・Mazet Remi・岩崎まゆみ・小島晶子・小林 猛・町田泰則 シロイヌナズナの葉の発生分化に関わるAS2、AS1 による新規遺伝的ネットワークの解明 2008年9月 日本遺伝子学会第80回大会(於名古屋)
  2. 「日本植物細胞分子生物学会2010年度論文賞」Matsuo, N., Mase, H., Makino, M., Takahashi, H. and Banno, H.,Identification of ENHANCER OF SHOOT REGENERATION 1-upregulated genes during in vitro shoot regeneration. Plant Biotechnology, . 26(4), 385-393, 2009
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